インプラント矯正とは
矯正歯科用につくられたインプラントを顎の骨に埋め込み、固定源として使用する事により、今までの矯正治療では難しかった歯の動きを可能とし、治療期間の短縮や外科手術(顎を切る等)が必要な患者様の治療も可能にしたり、非抜歯矯正の可能性の拡大、患者様の治療協力の軽減等が行える治療法です。
インプラント矯正の背景
一般的に、歯科でインプラントといえば歯を失った部分に対しチタン製の人工歯根を埋め込み、その上に人工の歯をつくる事を意味します。
このインプラントを用い歯の移動が出来ないものかと動物実験が行われた事に端を発し、現在では矯正歯科用のインプラントが開発され、さまざまなタイプのものが製作されています。矯正用のインプラントは、歯の移動の為だけに用いられる目的で作られているので、歯の移動方向や移動量等に合わせ様々な部位に植立できる様になっています。
矯正用インプラントの材質
人体に一番親和性の高いチタンが用いられています。
通常のインプラントもチタン製ですし、骨折時等に固定するプレートやネジにもチタンが使用されています。アレルギーを起こす事もまずありません。
インプラント埋入について
手術時間
埋入の本数や選ぶインプラントにもよりますが、麻酔からお帰りになるまで本数が少なく埋入に時間のかからないタイプで30分くらいです。
麻酔について
一般的には歯を抜く時と同様の局所麻酔下で行われます。
又、通常、入院等の必要はありません。
術後の痛みや腫れ
個人差はありますが、お薬を飲んでいただければほとんど腫れや痛みは伴いません。
術後の埋入部位
通常では、埋入部位が外から見てわかる事はありません。
又、矯正用のインプラントは矯正治療上、必要がなくなり次第除去し、その跡が後々残る事もありません。
日常生活
ほとんど問題ありません。異物感もわりとすぐに慣れてしまいます。しかし、インプラント埋入部位を不衛生にすると感染により歯茎の腫れ等がおこる場合がありますので、日頃より衛生管理に気をつける必要があります。
インプラント埋入時にインプラント周囲のブラッシングについてもお話させていただきます。
年齢について
通常、骨がしっかりする16歳以降が適しています。
費用について
1本35,000円(税別)の費用が必要です。
この中には、埋入、お薬、除去等全ての費用が含まれます。また、埋入し直す必要がある場合の費用は発生しません。
しかし、インプラントを用いる事で矯正歯科の治療期間が短縮される事が多く矯正歯科の治療費が減額されますので、それによりある程度、相殺されます。
インプラント矯正の留意点
インプラント周囲の炎症
先にも述べました様に、埋入部位の不衛生により炎症を起こす事があり、日頃からの衛生管理に気をつける必要があります。
インプラント再埋入の可能性
十分に注意をされていても骨の厚み、密度の違い等によりインプラントがゆるんだり、脱落等が起こる事があります。
この場合には、再度埋入する必要があるかもしれません。(再度費用をいただくことはありません)
インプラント矯正のメリット・デメリット
メリット
- 治療期間が短くなる事が多い
- 矯正歯科の治療上、症状によっては取り外しの装置等を使って頂く事もありますが、こういった患者様のご協力が最小限ですみます
- 歯を抜かない治療の幅が広がります
- 外科手術が適応の場合でも手術なしでの治療が可能な事があります
デメリット
-
インプラントを埋入する必要があります
埋め込む場所やインプラントの種類は症状や目的により異なりますが埋入部位は重要組織(太い血管や神経等)が無い部分に埋め込みますのでそういった意味での危険性は非常に低いです。