国宝
先日、話題の映画『国宝』を観てきました。原作は吉田修一の同名小説で、歌舞伎役者の人生を通して「芸」と「生」を描いた重厚な作品です。映画ではその世界観がどう映像化されているのか、非常に興味深く観ました。
物語は、天才歌舞伎役者として生まれた主人公・喜久雄の幼少期から老境までを描いた壮大なヒューマンドラマ。芸に生きる男と、その周囲の人々との関係、葛藤、そして「国宝」となるに至るまでの人生が描かれます。
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主演俳優の迫真の演技
喜久雄役の演技が圧巻でした。歌舞伎の所作はもちろんのこと、芸に生きる苦悩や孤独、喜びが細かく表現されていて、観ていて息を呑む瞬間が何度もありました。 -
美術と映像美
舞台のシーンや着物、伝統的な日本家屋など、どれも美しく、まるで美術館にいるような気持ちに。特に照明やカメラワークが繊細で、芸の世界に対するリスペクトが感じられました。 -
人間関係の深み
師弟関係や親子関係、恋愛感情などが複雑に絡み合い、「芸の道を極めるとは何か」を観客にも問いかけてくる構成がとても印象的でした。
観終わった後、「本物の芸とは」「人生をかける価値とは」と、自分自身にも問いかけたくなるような映画でした。現代では忘れられがちな「継承」や「覚悟」というテーマが心に残ります。
『国宝』は、ただの伝記映画や芸術映画ではなく、「人間とは何か」を深く描いた作品でした。日本文化に興味のある方、人生について考えたい方に、強くおすすめしたい一本です
更新日:2025.06.21